平成17年度刑法第1問

やっとスカパーを録画できるようになり、さっそくGOING UNDER GROUNDのプロモ特番を録画しました。
シングル曲ではありませんが「かよわきエナジー」も流れていて、大収穫でした。
この曲のプロモはわが家の近くで行われた野外ライブの映像で,見慣れた景色が出てくるので好きなんです。


さて、去年の司法試験の論文再現は手書きのものは残しているのですが、それを打ち込むのがめんどくさくて、このブログにはアップしてません。
ただし別のところにアップした再現答案構成が3問ほどあるので、消えるまえにここに残しておきます。
参考にもならないと思いますが、それでも参考にしたい方は自己責任でどうぞ。
これはあくまで「答案構成」であって「答案」ではないので、
構成要件要素のあてはめなど争いないところは省略しています。


平成17年度刑法第1問


1、乙の罪責
(1)倉庫に侵入しているので住居侵入罪成立
(2)絵画を手に持って倉庫を出ているので窃盗罪成立
(3)逃げるためにBに暴行を加えた行為につき事後強盗罪成立。
(4)さらにBの死亡の結果についても責任を負い強盗致死罪が成立する。
なぜなら臓器破裂が丙の加功前の乙の暴行によって生じたのであれば当然に乙は責任を負うし、
丙の加功後の暴行によって生じたのであれば後述のように共同正犯として責任を負うから
(5)建造物侵入罪と強盗致死罪は牽連犯となる。
2、丙の罪責
(1)乙の暴行に途中から加功した丙に事後強盗罪が成立するか。事後強盗罪の構造と関連して問題。
(2)この点窃盗と暴行・脅迫の結合犯とする見解もある。しかしこれでは窃盗に着手しただけで事後強盗の実行の着手が認められることになり妥当でない
そこで事後強盗罪は身分犯であると解する。なぜなら身分とは一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係たる特殊の地位または状態をいうが窃盗もこれにあたるからである。
では真正身分犯か不真正身分犯か。
この点,不真正身分犯とする見解もあるが事後強盗が財産犯であることを無視しており妥当でない。
そこで事後強盗は窃盗という身分を有することで犯罪を構成する真正身分犯であると解する。
では窃盗の身分なき丙に事後強盗罪が成立するか。思うに身分なき者であっても身分者の行為を通じて間接的な法益侵害は可能であるし65Ⅰの「共犯」には広義の共犯も含まれると解される。
よって丙には65Ⅰが適用され、事後強盗罪の共同正犯が成立する。
(3)もっとも丙はBの死亡の結果の責任まで負うか。臓器破裂が丙の加功前の暴行によって生じていれば丙はBの死亡の責任を負わないのでないかが問題となる。
思うに共同正犯の本質は相互に利用補充しあって法益侵害を実現する点にある。そうだとすれば後行者も自ら加功する前の先行者の行為を積極的に利用補充する意思があれば先行者の行為についても責任を負うと解する(承継的共同正犯)
本問では丙は「事情をすべて認識し」加功しており、乙の行為を積極的に利用補充する意思が認められる。よって丙は乙の単独暴行についても責任を負い、Bの死亡の結果を帰責できる。
(4)したがって丙にも強盗致死罪が成立し、乙とは共同正犯となる。
3、甲の罪責
(1)建造物侵入罪の教唆成立
(2)では窃盗罪の教唆は成立しないか。甲はA会社の倉庫には何も入っていないと考えていたのでいわゆる未遂の教唆の可罰性が問題となる。
思うに共犯の本質は正犯のの実行行為を通じて間接的に法益侵害を惹起する点にある。そうだとすれば教唆も正犯が実行行為に出ることの認識さえあれば可罰的であると解する。
もっとも本問では乙は窃盗の既遂結果を発生させているため教唆は成立しないのではないか。思うに未遂と既遂では未遂の限度で実質的重なり合いガ認められ規範に直面したといえる。
よって本問でも未遂の教唆の限度で甲は責任を負う
この点教唆が正犯が実行行為に出ることの認識さえあれば足りるとすると既遂の教唆が成立するとも思える。しかし既遂の教唆が成立するためには責任主義の見地から結果発生の認識まで必要と解する。
したがって甲には窃盗未遂罪の教唆が成立する。
(3)建造物侵入罪の教唆と窃盗未遂罪の教唆は観念的競合
以上